認知症のお話
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
コロナが5類感染症に移行して初めての年末年始。久しぶりの帰省や参拝、初売りなどイベントごとが多いこの時期、皆様いかがお過ごしでしょうか?
我が家には、娘のためにサンタクロースが「ビーズ遊び」のプレゼントを持ってきてくれました。4歳の娘には難しいかなと思っていましたが、夢中になって遊び、毎日一つずつ作品を作っています。ビーズ遊びの約束事として①必ず大人と一緒にする②口・鼻・耳・目などに入れない③最後まで丁寧に、と娘と一緒に決めました。毎日一作品作るということは…そうです。毎日親が30分程度は側にいて見守るということです。「側にいる」だけではまだ難しいお年頃。お手伝いはさせてくれないので30分「見守るだけ」です。(一生懸命な姿は可愛いですが(^^♪)同年代のお子様も持つ親御さんたちの大変さを、改めて実感・共感している今日この頃です。
認知症のお話
本日は「認知症」についてお伝えしたいと思います。
鳥取県が3位、島根県が9位…これは、厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」の結果なのですが、65歳以上の人口における認知症発症率で鳥取県は2.81%で3位、島根県は2.6%で9位に入ってるのです。ちなみに47位鹿児島県で、1.37%です。あらためて、「認知症」が非常に身近なものだと感じるかもしれませんね。
物忘れと認知症の違い
周りでも「物忘れ」について不安を感じているという声を聞くことがあるかもしれません。ここで、加齢による物忘れと、認知症による物忘れの違いを確認しておきましょう。例えば「メガネを置いた場所」とか「買ったものをどこにしまったかわからなくなった」というような場合は心配ありません。自分が忘れているという自覚もありますし、体験の一部を忘れているだけですよね。認知症による物忘れの場合は、自分が体験したことを丸ごと忘れてしまうのが特徴です。
例えば「食事をしたこと自体を忘れて、食べた直後にまた食事を催促する」とか「いつも行っているスーパーマーケットからの帰り道がわからなくなった」というような場合です。
ただ、認知症の種類や進行状況によっても違いがありますし、何より、認知症は、早期発見、早期治療が大切ですから、気になる症状があれば、早めに受診していただきたいです。またご家族は、まず受診できる環境づくりをすることが大切だと思います。ご本人が受診を嫌がられるケースもありますので、かかりつけ医だったり、ご本人がお住まいの地域包括支援センターだったり、その方に合わせた形で相談してみられるのがいいと思います。
認知症の症状
認知症の症状は大きく「中核症状」と「周辺症状」に分けられます。中核症状とは、脳の神経細胞が壊れてしまったことによって生じる記憶障害や日時や場所がわからないといった見当識障害などの症状です。周辺症状とは、その方の性格や環境、周りの方との関係など、さまざまな要因が絡み合って起こってくる症状です。個人差も大きいですし、症状の現れ方や程度も違います。
周辺症状は、適切な対応によって軽減できるということを知っておいていただきたいです。
適切な対応例としていくつか挙げてみましょう。財布など何かを盗られたと言う「物盗られ妄想」は、認知症ではよくみられる周辺症状のひとつですが、言われた家族はショックを受けますよね。それだけに、冷静な対応も難しいと思うのですが、適切な対応としては、まず、否定しないこと、これは、全ての症状に共通する対応です。共感して、いったん受け入れることが大切です。そして、「物盗られ妄想」の場合、例えば財布が台所に置いてあったのを見たとか、探してみつかったとしても、それをそのままは伝えない、ご本人に探してもらってみつけてもらうことがポイントです。
食べたことを忘れる「食忘れ」に対しても、「さっき食べたでしょ」と言いたくなる気持ちはあると思うのですが、そこはこらえて、否定しないでいったん受け入れます。例えば、「今準備しているから先にこれを食べておいてね」とフルーツなどを出したり、あらかじめご飯を少し減らしておいて、その分で作っておいたおにぎりを食べてもらうなどの工夫をしてみるのもいいですね。
否定しないでそういう対応をしていくことによって、周辺症状が軽減できたりします。ただ、介護をしている方の負担が大きくなると、冷静に対応する余裕がなくなってしまいますよね。
正直、きれいごとでは済まされないこともあります…。ですから、介護をする方が、「がんばりすぎない、ひとりで抱え込まないこと」も、とても大切です。今は本当にいろいろな支援が進んでいますので、まずは、専門的なアドバイスをもらえるところとつながっていただいて、起きている症状や悩んでいることなどを相談していただきたいです。