2024.2.2
管理栄養士

沈黙の臓器「肝臓」と向き合おう

肝臓って何者?

朝すっきり起きれない・・・なんだか1日中体がだるい・・・そんな毎日を過ごしていませんか?実は肝臓が疲れているのかも?
「肝臓」は横隔膜のすぐ下、胃の隣に位置し、体重の1/50を占めており、からだの中で最大の臓器です。

主な働きは3つあります。
①代謝:からだに必要なたんぱく質の合成や栄養の貯蔵をします。
②解毒:アルコールや薬、老廃物などの有害物質を分解し、無毒化します。
③胆汁の合成・分泌:「胆汁」は脂質の消化吸収を助けるはたらきがあります。
このように肝臓は私たちの身体にとって重要な働きを担っていることが分かります。

しかし普段の生活の中で「肝臓」を意識することは少ないのではないでしょうか。
それは肝臓が「沈黙の臓器」と言われているからです。肝臓には、痛みを感じる神経がありません。
そして、肝臓には大きな力の貯えがあり、肝臓の70~80%が壊れても日常生活で気づかない程度に機能しようとします。そのため自覚症状がなかなか起こりにくい、何かしらの異変が起こっても気付きにくい、などの特徴があります。肝臓の状態は血液検査の数値で確認するしかありません。

肝臓の病気、肝臓を守っていくためには

肝臓の機能低下が進行すると、全身倦怠感・食欲低下・嘔気・黄疸・皮膚のかゆみ・からだのむくみ・腹水などの症状が出る場合があります。治療せず放置すると、肝機能障害から慢性肝炎へ進行し、更には、肝硬変そして肝臓がんへ至ります。
主に肝臓の病気には肝炎(ウイルス性、アルコール性、非アルコール性)、肥満(生活習慣病)などが原因であると言われています。
そんな「肝」機能を守るには毎日の生活習慣が「肝(きも)」!とされています。

【バランスの良い食生活を】

●たんぱく質
ダメージを受けた肝臓を修復するためには、良質なたんぱく質の摂取、そして体で合成できない必須アミノ酸を多く含む食品を摂ることが大切です。
脂肪の少ない鶏むね肉やささみ、白身魚(鮭・鯛)、大豆製品(豆腐や納豆)を選んでみて下さい。

●ビタミン・ミネラル
ダメージを受けた肝臓は、ビタミンを蓄える能力が低下しているため、食事から摂り入れることが必要です。
野菜類(ほうれん草やかぼちゃ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜)、海藻(わかめ)やきのこ類がおすすめです。果実類(リンゴやバナナ、いちご)もおすすめですが、糖分に注意が必要です。
外食やコンビニ弁当が多い時は、サラダやカット野菜でプラスワン、主食・主菜・副菜を意識してみましょう。

●タウリン
タウリンの豊富な貝類やタコ、エビなどの魚介類も肝臓の解毒を高めてくれます。しじみはお酒を飲む機会が多い方に向いています。

▲控えたい食べ物
加工食品の塩分や脂質(カップラーメン、ベーコン、ウインナー、ちくわ等)、ジュースやお菓子の糖質には注意が必要です。

【節度ある適度な飲酒を】~1日平均純アルコールで約20gが目安~

ビールに換算してみると男性500ml、女性350ml/日ほどが望ましいです。
意識的に肝臓を休ませる、「休肝日」を週2日は設けるなど楽しく飲酒できるのが理想です。

【適度な運動でリフレッシュを】

からだの調子を整えたり、ストレスを解消させたり、筋肉の代謝にも効果的です。有酸素運動や無酸素運動を組み合わせて毎日続けることが大切です。

【健康診断の受診】

肝臓の病気は自覚症状が出にくいため、定期的な健康診断を心掛けましょう。「沈黙の臓器」だからこそ、検診を受けて肝臓を労わることが大切ですね。

まとめ

肝臓の重要性をお分かりいただけましたでしょうか?肝機能を守るのは毎日の生活習慣。この機会に是非、ご自身の「沈黙の臓器」に聞いて向き合ってみて下さいね。
肝臓の大切さを知って頂けたみなさんは、昨日よりも健康的で素敵な毎日を過ごせますね。

◆コラムを書いたのは…
管理栄養士
瀧口 友里
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