2023.11.1
管理栄養士

腸内細菌と共に毎日生き生き

腸内細菌がいることによってもたらされる利点

近年、健康づくりにおける腸内環境の重要性に注目が集まっています。
テレビ番組や雑誌などでも数多く取り上げられ、「腸内フローラ」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか?
腸内フローラとは腸内に生息する細菌のかたまりのことをいいます。これらの分類は大きく、「善玉菌」「悪玉菌」と、優勢な方に味方する「日和見菌」の3つのタイプに分かれています。
健康状態の良い方の腸内フローラは「善玉菌」20%、「悪玉菌」10%、「日和見菌」70%の割合となっています。
善玉菌は腸内フローラを正常に保つ「短鎖脂肪酸」を作る働きがあります。短鎖脂肪酸は腸内で感染症を予防したり、発がん性をもつ物質が出来るのを抑える働きがあります。
つまり、正常な腸内フローラを維持するには、善玉菌が働いてくれることが健康状態維持のために重要なことと分かっています!

そこで、今回は善玉菌を効果的に増やす3つのポイント、プロバイオティクス・プレバイオティクス・シンバイオティクスについて詳しくお話していきます!

正常な腸内環境を維持するには?

プロバイオティクスとは
「腸内フローラのバランスを改善することにより、人に良い作用をもたらす生きた微生物」と定義されています。
つまり、健康な腸内環境を維持するために働く善玉菌が、プロバイオティクスとなります。主な種類はビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌などがあります。

一方、プレバイオティクスは
「プロバイオティクスの栄養源となり、腸内フローラを健康的なバランスに維持する難消化性食品」と定義されています。
つまり、プレバイオティクスは善玉菌の餌になれる食品成分のことを指します。主な種類は、オリゴ糖、難消化性デキストリン、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維などがあります。

最後に、シンバイオティクスとは、
「プロバイオティクスと、プレバイオティクスを同時に摂ることで、より効果的に腸内環境を改善すること」を言います。
シンバイオティクスの結果、消化されにくいオリゴ糖や食物繊維が腸内細菌によって発酵され、酪酸、酢酸などの「短鎖脂肪酸」になります。
短鎖脂肪酸は腸内に悪影響を及ぼす菌が増えることを抑える働きや、大腸を刺激して便を作る働きを促します。結果腸内の健康状態が良くなるように導いていきます。
シンバイオティクスは、強力に腸内環境を整える治療と考えられており、医療の現場では細菌やウイルスの感染を防いだり、病状を抑える時などに用いられ、近年注目されています。

では、食事や生活習慣はどんなところに気を付けていけばいいかについて、お悩み別にご紹介していきます

おなかが張った感じがする方:ストレスが多い環境にいる場合、腸の機能が低下すると、腸に溜まったガスを排出できずにおなかが張った感じがします。
そういった方は腸内フローラを整えることを目標に、善玉菌の豊富な食品を食べることがおすすめです。ヨーグルトなどの発酵食品をとりましょう。
発酵食品についてこちらのコラムでご紹介しています。(発酵食品を食べて身体も心も健康に!)

おならの臭いが気になる方:お腹が冷えたり、運動不足が続くと腸内の悪玉菌が増え、ニオイの元になります。そういった方は、シンバイオティクスの活用がおすすめです。
食物繊維や発酵食品を摂るように心がけましょう。食物繊維についてはこちらのコラムをご覧ください。(食物繊維で腸を整えよう!)
また、お腹を冷やさないよう心掛けたり、運動も取り入れてみましょう。善玉菌を増やすためには1日25分以上の歩行が推奨されています。

胃腸が弱って消化不良をおこしている方:おなかの調子が優れない原因に、胃の不調が考えられる場合があります。ストレスや暴飲暴食が原因となっている場合もありますが、病気のサインの可能性もあります。慢性的に続く場合は医療機関の受診が推奨されます。まずは体調を整えることを優先し、三大栄養素やビタミンが含まれている食品を摂る事がおすすめです。三大栄養素について説明したコラムもあります。こちらもご覧ください。(”三大栄養素”ってなに??上手な食事の摂り方とは・・・?)

まとめ


私たちの健康に直結する、腸内環境について理解することは大切です。腸内環境を知る為に便を観察してみましょう!理想の便の色は黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くなく、形状は柔らかいバナナ状と言われています。
ぜひ、腸内の善玉菌の割合を増やして健康状態の良い腸内環境を目指しましょう!

 

◆コラムを書いたのは…
管理栄養士
村上 文香
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